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MAツールって何ができるの?ユニリタ流の扱い方をちょっとだけご紹介!

こんにちは。マーケティング部の市野です。

前回は、Salesforce初心者に伝えたいレポート&ダッシュボードの基礎という内容の記事を公開しましたが、
今回はデジタルマーケティング活動によく利用される「マーケティングオートメーションツール(MAツール)」についての記事を書いてみようと思います。


MAツールとは

MAツールとは、「新規顧客の獲得に向けたマーケティング活動を可視化し、自動化・効率化する」ためのツールです。

……???
さっそく何いっとるのかわからん!なんて方もいるかもしれませんね。

この記事では、MAツールで実現できる「新規顧客の獲得に向けたマーケティング活動を可視化し、自動化・効率化する」について掘り下げて考えてみようと思います。

MAツールって具体的に何ができる?

MAツールといえば、「メールを一斉配信するための道具」という印象が強いかもしれませんね。実は、MAのツールのメール配信機能は「新規顧客の獲得」のための機能の一部でしかありません。

まずは、MAツールが具体的にマーケティング活動のどのあたりのプロセスに適応されるのかを認識してみましょう。以下の図は、よくある「新規顧客の獲得を行うための、プロモーション活動~商談の受注」までのプロセスを表したものです。

商談の受注までのおおまかなプロセス

赤い矢羽で示されている「リードの育成・選別」のプロセスで、MAツールは利用されます。このプロセスでは、後述するMAツールのさまざまな機能を使って、リード(※1見込み客)に自社のサービスのブランドや価値を伝えて「購買意欲」を高め、受注・商談へとつなげていきます。この活動を「リードナーチャリング」と呼んだりもしますね。
(※1) 見込み客=将来的に自社の製品やサービスを購入してくれる可能性がある人

MAツールの代表的な機能

MAツールは、主に「見込み顧客の購買意欲を刺激し、購買行動の心理変容」を促すための機能を備えています。

①リード管理

リードの情報を管理し、リストを作成します。会社名・部署・役職・電話番号・メールアドレスなどの名刺情報の他、自社のWebサイトに何回訪問したか、どのページを見たか、どんなイベントやセミナーに参加してくれたかなどの情報も管理することができます。

②メール作成・配信

リードのリストに対して、メール配信を行うことができます。メールはHTML形式・TEXT形式の2種類で作成します。MAツールから送信したメールは、「メールの開封」や「メールリンクのクリックを検知」することが可能で、リードが自社サイトのページを閲覧した履歴を「Web行動履歴」として保存・閲覧することもできます。

③スコアリング

リードのメール閲覧やWeb行動履歴などをもとに、リードを評価する点数を付与することができます。また、企業規模や職種・部署名などの属性情報もスコアに反映することも可能です。この機能があるおかげで、「今すぐアプローチしたほうがいい顧客」が明確にわかるようになります。また、スコアの高さでリードを可視化すると、マーケティング活動の進捗や成果を評価することに役立ちます。

④ランディングページ・フォーム作成

自社の広告をクリックしてくれた方に表示するWebページのデザインや、資料請求やセミナーの申し込みに必要なフォームを作成することができます。

⑤シナリオ作成

顧客の育成シナリオを作成することができます。メール配信だけでなく、スコアの増減、営業担当者への通知の配信とToDoの付与、SFA(Sales Force Automation)へのデータの送信など、顧客の育成~営業のアクションまでを管理することができます。

他にも、レポーティング機能やSFA・CRM(Customer Relationship Management)連携機能、SNS/広告連携機能などさまざまな機能を持っていることが多いです。

MAツールを使えばこんなことができる! 

~“スコアリング”で「アツいリード」を探してみよう~

MAツールを使いはじめてから「こりゃいいぜ~」と思った機能はいくつもあるのですが、個人的に1番おすすめしたいのは「スコアリング機能」です。

スコアリング機能を利用すると、「今すぐアプローチすべきアツい見込み客」が瞬時にわかるようになります。

簡単に言うと、「顧客のポテンシャル(属性情報)」と「顧客の行動(行動情報)」を点数化して、評価しちゃおうぜってことです。

【分類の例】
▼属性情報
①企業が持つ購買能力のポテンシャル(B2Cの場合は年齢や勤続年数など)
②顧客の役職や決裁権の有無(B2Cの場合は年収など)
③所属する部署や職務内容(B2Cの場合は趣味やライフスタイルなど)

▼行動情報
①Webの行動履歴
②営業担当者とのコンタクト回数
③資料請求やイベントなどのキャンペーン参加履歴

これらの属性・行動情報が「自社が望む顧客属性・購買行動」に近いリードほど、高い「スコア(点数)」が付与されます。スコアが高いリードは、「サービスを購買する可能性が高い顧客」としてマーケティング組織や営業組織に対して通知しましょう。
このとき、いきなり通知を受け取っても「で、何すればいいの?」ってなるので、スコアごとにアクションプランを分けて表かなにかにしておくと、関係者に共有しやすくなります。

ちなみに私のチームでは、「グレード」と「スコア」という評価軸を決めて、リードをスコアリングしています。
・「グレード」は企業の規模や業種と自社サービスのマッチ率で算出
・「スコア」はメールの閲覧回数やイベントの参加回数により算出

イメージはこの表のような感じです。

リードスコアに基づいたアクション区分

B2Bであれば、企業の売上高や業種、Web行動の量や部署・役職などの情報をもとに、グレードやスコアを付与してアプローチの方法を分けると、営業活動を効率化しやすくなります。

実際に営業へ送客したリードの感触(アポの取りやすさや商談化のしやすさなど)をヒアリングし、スコアの条件や閾値などを調整することも忘れずに。
(このあたりの設計は完璧を求めようとせず、ある程度感覚値や仮説も用いながら運用するのがコツだったりもします)

カスタマーサクセス活動の一環として、「すでにサービスを利用してくださっている既存顧客」の営業担当に、「自分が担当する顧客のスコア」を見えるようにしたり、アラートを送信したりすることもできます。とはいえ、このような「アラート設定」はMAツール運用の基礎が組織に理解されていて、かつ、営業担当の方の感度が高くないと目に見えるほどの効果は得られないことが多いです。

MAツールの設定以上に、施策としての定着化が難しいですがインサイドセールスと営業組織、カスタマーサクセス組織のつながりを強くして、同じ施策のPDCAを回す体制になるといい循環が生まれるはずです。

長くなりましたが、これがMAツールが実現する「新規顧客の獲得に向けたマーケティング活動を可視化し、自動化・効率化する」ということです。

~リサイクルプロセスで、商談機会を最大化しよう~

MAツールを利用する上で、必ず実施したほうがいいプロセスとして、「リサイクル」というものがあります。

リードをリサイクルする流れ

これは、以下のような状態に陥ったリードのスコアを「0点」に再評価し、時間をかけてまた育成しなおすという施策です。

①90日間メール開封やWebサイト訪問の、イベント参加などによるスコアの変動がない
②インサイドセールスが電話をしたがアポイントが取れなかった
③初回面談を行ったが、時期や予算の問題で商談化に至らなかった
④商談化したが、競合サービスと争った上で敗戦した
⑤商談化したが、顧客がどのサービスも導入しないことに決めた

ようするに、「今は顧客にならなかった」リードを、再度育成して「再び商談化できそうな時期が訪れたとき」を逃さないようにしよう!という作戦です。

これを行うためには、「商談の消滅理由」や「敗戦理由」をしっかりと情報収集して、分析することが大切です。「導入時期未定」「予算不足」「組織の方針」「サービスの機能不足」「価格のギャップ」など、商談が消滅/敗戦した理由はできるだけ商談データに付与しておきましょう。リサイクルは、「商談が芽吹かなかった理由」「リードのグレード&スコア」をかけ合わせて、再アプローチのタイミングを設計します。

また、「決算月」がわかるとツール検討の時期や予算申請の時期が掴みやすくなるため、リサイクルリードにはこのような情報を付与することもおすすめです。

リサイクルプロセスに落ちたリードへはシナリオ型のメールを中長期的に配信することに加え、イベントやセミナーの案内を定期的に実施し、スコアを上げるための活動を行いましょう。


さいごに

いろいろ高尚なことを記載してきましたが、MAツールは「まずは小さく始める」のも重要なポイントです。
導入初期は、ターゲットに対して単発のメールを配信して、反応があったらすぐセールスチームにパスをするみたいなやり方でも大丈夫です。ただし、セールスチームに負荷がかかるので、できるだけ短い期間のみに限定しましょう。

前提として、リードナーチャリングは短期間で劇的な効果がでる施策にはなりにくいです。
マーケティング組織と営業組織を横断した仕組みづくりが必要になるため、じっくり話あって、焦らず進めましょう。

リードの育成にはそれなりに時間がかかりますし、スコアや育成シナリオ、リードのパス基準の“設計”などは最適解を探していく必要があります。

半年や1年で成果を出そうとせず、設計の最適化に2年くらいは時間をかける気持ちのほうがいいです(大抵の場合、誰かに急かされながら導入するパターンが多いので難しいかもしれないですが……)。

ここまでご覧いただきありがとうございます。

Salesforce、MAツールときたら、次は何の記事を書こうかな!
ナヤム……(๑-﹏-๑)