見出し画像

業務可視化がもたらす「DX成功の秘訣」とは? Part1:現場業務を可視化しよう

おすすめのコラムをご紹介

ユニリタではnoteの他に複数のメディアやコラム、ブログを運営しています。

今回はその中でも「IT情報サイト idearu(アイディアル)」から、おすすめの記事をピックアップして、業務可視化によるDX成功の秘訣をテーマにしたコラムをご紹介します!

1.現状業務の課題に共感することが第一歩

ユニリタでは、お客様の現状業務の可視化をサポートするサービスを提供しています。そこで、実際に経験したエピソードを一つご紹介します。ある組織の現場の業務を担当者にヒアリングし、業務の進め方を具体的に可視化していた時の出来事です。その様子を見ていた担当者の上司は、「これまでよく、一度も間違わずにやってくれていましたね」とおっしゃいました。第三者の私たちから見ても、その業務はさまざまなパターンや例外対応が含まれた複雑なものでしたが、担当者本人にとっては前任者から引き継いだ当たり前の業務であり、しっかりとマニュアル化もされていたため、問題とは感じていませんでした。このような状況は関係者間で具体的な内容を共有することで、その危うさや非効率性に気づくことができる、典型的な現場の実情と言えます。

このような問題に気づくと、その現場では類似する課題が次々と出てくるものです。DXを真剣に推進している上司であれば、包み隠さず全ての課題を洗い出してほしいと言ってくれるでしょう。また、関連部署にその成果を共有すると類似する課題がたくさん存在することがわかり、さらには部署間で協力すれば改善できそうなやり取りもたくさんあることに気づいてくれるでしょう。

DXを成功に導くには、トップダウンの戦略やICTの理解・技術検証はもちろん重要ですが、前述のように現状業務の課題に対する関係者間の「共感」が欠かせません。現状業務の可視化は、担当者の頭の中だけにある業務を明確にし、関係者間で課題を「共感」するための手段としても有効です。
本稿では、最低限必要な現状業務を可視化する方法をわかりやすく解説していきます。

2. 初めてでもできる現状業務を可視化する方法

まずは下表(図1)のようなスプレッドシートを用意してください。
各項目は以下のような定義で業務の棚卸しとして書き出してみましょう。

図1 - 業務の棚卸し表

図1の項目説明

  • 業務ID:各業務を台帳管理するユニークな識別子

  • 業務(大分類):業務(小分類)をまとめる1階層上の分類

  • 業務(小分類):作業ステップとしてモノを誰かに手渡す/アウトプットを生み出す単位

  • 担当:業務を実施する担当部署やチーム、担当者名

  • 開始条件:業務を開始する条件

  • インプット:業務を行う際に必要となる前工程からの依頼/指示/問い合わせ、参照する情報(業務規程、マスタ等)検知した事象、作業に必要なモノ(材料、備品、在庫等)

  • アウトプット:業務を行った結果としての作業実績、生み出されたモノ、後工程への依頼/指示/問い合わせ、KPI実績

  • 利用するシステムやツール:業務で利用されるシステムやツール名

業務棚卸し表に業務を書き出していく際の細かさ(粒度感)は、生み出すアウトプットごとにします。ファイルを作成/更新する、メールを送付する、システムを更新するなどのアウトプットごとに1行を使って書き出してください。これにより紙の帳票が残っている箇所や、データの連携/変換/加工/集計などを手作業で行っている箇所など、業務のデジタル化施策として目をつけるべきポイントなども特定できるようになります。

3. 現状課題の洗い出し

次に、業務棚卸し表の「業務ID」に紐付けて別表に「気づき」を書き出していきます。

図2 - 気づき一覧

図2の項目の説明

  • 気づきID:気づき一覧を台帳管理するユニークな識別子

  • 対応する業務ID:書き出した気づきに対応する業務ID

  • 起票者:気づきを書き出した担当者名

  • 起票日:気づきを起票した日

  • 気づき:普段の現場で困っていること、悩み事、もしくは改善案といったようなものを思いつくままに書き出す

  • 備考:気づきの事象が発生する頻度や時期

「気づき」はその文章だけを第三者が読んでも意味がわかるよう、できるだけ文脈や対象を具体的に記述しましょう。

「業務棚卸し表」と「気づき一覧」が部署単位でそろったら、当該部署のメンバーを集めて改善策の検討会議を定期的に行うと良いでしょう。上長は組織戦略も加味して、現場から上がってきた気づきを仕分けし、優先度を付けて課題を定義し、対策に向けた今後のロードマップを描きます。現場からの声が職場改善に活かされるという実績を重ねていくことで、職場の改善に向けた活動が活性化され、文化となっていきます。


さて、本稿で紹介した現状業務を可視化する方法はExcelなどのスプレッドシートさえあれば、すぐに始められます。ただし、効果を実感し、継続的に続けていきたいと組織内で合意できれば、この手法自体も少しずつ改善していくことをおすすめします。

Part. 2では、その手法、フローチャートの作成についてご説明します。

業務可視化がもたらす「DX成功の秘訣」とは?
Part 2: フローチャートを作成しようはこちら